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低酸度二等乳

  • 2014-04-08 (火) 4:54
牛乳を集乳する際に行う日本農林規格の検定に不合格の乳を二等乳といい、アルコール不安定乳、低成分乳および異臭、異味、異物混入に大別されます。
アルコール不安定乳は、原料牛乳と70%アルコールを1:1の割合で混合し(アルコールテスト)、凝固物の生じる乳をいい、アルコール反応陽性乳ともいいます。
アルコールで凝固する乳の中には、搾乳直後の新鮮乳で臨床的にも異常が認められず、陽性反応を示すものがあり、低酸度二等乳といいます。
アルコールテストは乳中のタンパク質の熱に対する安定性を調べるもので(70%アルコールを混ぜた時と牛乳を加熱したときの反応が同じ)、全ての製造用原料乳に用いられるようになっています。すなわちアルコールテストで陽性反応がでると出荷できません。
低酸度二等乳発生の原因についての報告は数多くありますが、完全には解明されていません。
原因としては、環境、疾病併発、ホルモン、給与飼料、ストレス等の影響による乳腺細胞の乳汁合成能が低下していることが挙げられます。
(1)環境による影響
乳牛の快適温域は12~18℃、快適湿度は40~60%といわれています。
この範囲を越えると体温に変化が現れ,食欲や乳量の減退、抗病性の低下などが見られます。
このような寒冷、酷暑、多湿のほかに、急激な気温変化、低気圧などのストレスにより、感受性の強い乳腺は異常となり、低酸度二等乳を分泌すると考えられます。
(2)疾病併発による影響
アルコール陽性牛には、アシドーシス,肝機能障害や慢性乳房炎、ケトーシス、胃腸障害が多いことが報告されています。
これらには副腎皮質をはじめホルモンの分泌機能異常が関係しているとされています。
(3)ホルモンによる影響
副腎皮質ホルモンの中で、ナトリウムやカリウムの代謝に関与する無機質コルチコイドが起炎作用、炭水化物などの代謝に関与する糖質コルチコイドは消炎作用を持っていますが、 これらの不均衡で乳腺に起炎的に作用し陽性乳を分泌させることが知られています。
また甲状腺ホルモンとの関係も知られ、この投与による陽性乳の分泌が確認されています。
(4)飼料給与状態による影響
飯塚らによる低酸度二等乳に関する一連の研究の中で、飼料給与量との関係について、詳しい検討結果が報告されています。
この調査では、TDN、DCP(≒CP)の充足率が90~120%の適正給与群の発生率が、7.7%と最も低く、TDNの充足率が低い群で発生率が非常に高くなっています。
また、DCPの充足率が高い群の発生率も高く、栄養バランスが悪くなると陽性率も高くなっています。
かなり古いデータですが、タンパクとエネルギーの不均衡、特にエネルギーの過不足が陽性乳の誘因として大きいことが示唆されています。
NRC充足率 DCP
120以上 90~120 90以下
TDN 120以上 32.0 18.8 16.7 29.9
90~120 25.0 7.7 13.6 15.9
90以下 33.3 29.6 27.9 29.0
30.0 15.8 22.5 24.3
飼料充足率とアルコールテスト反応陽性率(%)
治療としては、上述した原因である環境によるストレスを軽減し、疾病を予防することが挙げられます。
また飼料計算を行い、栄養バランスを是正することが重要です。治療薬は、整胃腸剤であるメンブトン製剤が主に使用されますが、NOSAI獣医師に相談してください。
ちなみに、低酸度二等乳は乳脂肪分の組成が変化しているので、子牛が哺乳すると白痢を起こしやすいと言われています。
(生産支援室 獣医師 前谷)

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