牧草中の糖分とサイレージの品質

 

牧草中の炭水化物は図1の様に区分され、この中で水に可溶な炭水化物は可溶性炭水化物(WSC: Water Soluble Carbohydrate)と表現されます。WSCには単糖・二糖類、オリゴ糖、フルクタンが相当します。当社の粗飼料分析サービスの、青草の分析項目の1つでもあります。

良質なサイレージを調整するには、好気性微生物や有害菌の増殖を抑制することが重要です。一般的な調整過程では、サイレージの密封後まず植物自身の呼吸や好気性菌によって酸素を消費し、次に嫌気性菌である乳酸菌が牧草中の糖分をエネルギー源として乳酸発酵を行い、サイレージのpHを低下させます。pHが低下すると(理想はpH4.2以下)、有害微生物の活動を抑制でき、牧草の栄養価のロスを低減できます。

WSCは乳酸菌が利用できるエネルギー源の指標となり、草種や刈り取り時期、施肥条件、予乾の有無など様々な条件が影響しますが、基本的に高いほど良いサイレージが出来る傾向があります。理想は乾物中10%以上です。一方で、牧草中のWSCが低かった場合の対応として、①乳酸菌のエネルギー源となる糖分の添加、②pHを下げる成分(ギ酸)の添加等が考えられます。「私たちの強み-糖蜜-」でもご紹介している通り、サイレージ調製時に糖分として糖蜜を添加することで乳酸発酵を促進させることが出来ます。

調整前の青草の分析や糖蜜の手配については、是非当社の営業マンにご相談ください。

 

参考)

・葵義民ら(2004). サイレージ~より高品質なサイレージ、より乳牛が喰い込むサイレージ~. ㈱デーリィ・ジャパン社